宇宙背景放射の非等方性は地上の黒体放射にもあるのではないか

 

1.ネットの「宇宙の最初の光を探る」からです。

宇宙では、ビッグバンの時に作られた光が全方向から飛んで来ています。これを人工衛星で観測すると、光の周波数分布は2.726°Kの黒体放射であることが分かっています。

この光には、双極子非等方性があり、180°違えて光の周波数を比較すると周波数の違いが最大になる方向があります。周波数の違いは、地球のある銀河系が、宇宙背景放射に対して、動いているためです。この周波数の違いから、地球がある銀河系が、360Km/Sで赤経11.2時、赤緯―7°の方向に動いていることが分かります。 

 

2.黒体放射

 鉄をガスレンジの炎の中に入れて置くと、赤くなってきますが、これは鉄の温度が上がり、その温度で決まっている光を放出するからです。この光は一つの周波数ではなく、たくさんの周波数の光です。温度によってその周波数分布が決まっていて、その式もあります。周波数分布は元素によらず温度だけで決まっています。

 黒体放射は温度によって決まっている光の分布ですが、元素には、元素によって決まっている光もあります。これは、元素の電子がその軌道を変える時に出す光です。元素が熱せられて、電子が、エネルギーの低い軌道から高いエネルギーの軌道に移り、電子が元の軌道に戻るときに、軌道のエネルギーの差分に相当する光を放出するのです。そして、軌道のエネルギー差分で決まる一つの周波数の光だけを放出するのです。

 

3.赤経赤緯

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 赤経赤緯は、上の図で、地球を太陽の位置に置き、地球の春分位置に東経0度を合わせ、地球の緯度と経度を空間に広げたものです。北極と南極を結ぶ延長線が赤緯90度です。北極の延長線が赤緯+90度で、南極の延長線がー90度です。赤緯は、春分の位置を0時にして、夏至の位置は6時、秋分の位置は12時、冬至の位置は18時です。

    

4.太陽系が動いている方向と公転面からのずれ

 太陽系が動いている方向は赤経11.2時、赤緯―7°です。赤経では、秋分の位置の少し前の方向に動いています。赤緯は―7°ですが、公転面に対しては何度になるのでしょうか。太陽系の動く方向が公転面の拡張面上にあれば、地球の公転によるドップラー効果の差は最大になります。赤緯秋分の位置の少し前で11.2時ですから、赤緯―7は公転面の近くになりますが、もう少し詳しく知りたい所です。

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 11.2時は秋分の位置から0.8時です。1時は90°/6=15°ですから、0.8時は、15°×0.8=12°です。上の図で太陽の位置から夏至の位置までの距離をrとします。上の図で太陽から11.2時までの距離はr×sin12=r×0.208です。ですから、11.2時の、夏至の位置の23.4°に当たるものは、23.4×((r×0.208)/r)=4.9°です。ですから、公転面の赤緯は―4.9°です。従って、太陽系の移動方向は赤緯―7°ですから、公転面からのずれは、7°―4.9°=2.1°となります。

 

5.地球の公転を利用して太陽系の移動速度の観測可能性

    太陽系の移動度=360Km/S

    地球の公転速度=29.8Km/S

    地球の自転速度=0.417Km/S

 地球の公転速度は、宇宙背景放射の観測による太陽系の移動速度の約8.3%ですから、地球の公転速度を検出するためには、宇宙背景放射の観測精度より一桁高い精度が必要です。現在の観測精度が1Km/Sを検出できるなら問題ありませんが、どうなのでしょうか。10Km/Sは出来ていそうに思いますので、30±5Km/Sの検出は可能なのではと思っています。

 

6.二つの観測で太陽系の移動速度が一致したら

 地球の公転速度から太陽系の移動速度を求める時に観測する光は、宇宙背景放射ではなく、太陽系の移動方向にある星の光です。

   その星の光の真空中の周波数=f0  

   太陽系の移動速度=Vx

   地球の公転速度=v  

   光の速度=c

   Vx+v の時の地球で観測する周波数=f 

   Vx-v の時の地球で観測する周波数=f

 f=f×(1+(Vx +v)/c)×(1-(Vx+v)/c0.5

 f=f×(1+(Vx -v)/c)×(1-(Vx-v)/c0.5

この二つの式よりVxとfが計算できます。そして、Vxが宇宙背景放射から計算された太陽系の移動速度360Km/Sと一致し、地球上での黒体放射にも双極子非等方性があった時、360Km/Sは宇宙背景放射に対するものではなく、真空に対するものだと言えるのではないでしょうか。

 2018年9月追加

 また、太陽系の移動方向にあるfが異なるどの星に対しても、Vxが同じであれば、「Vxは真空に対する速度である」と言い切れる思いがします。

 

7.地球上での黒体放射にも双極子非等方性があるのではないか

 宇宙背景放射が黒体放射であれば、地球上の黒体放射にも同じように双極子非等方性があるのではないでしょうか。同じ黒体放射ならその発生源も同じだと思いたくなります。そして、それは真空だと思います。

 鉄の塊といえども、原子の内部はガラガラです。原子の大きさは10-10mで、原子核の大きさは10-15mのですから、原子の内部は真空だらけと言えます。鉄の原子の温度が上がれば、原子内部の真空の温度も上がるはずです。

 真空にはベクトルポテンシャルがあったり、磁気の吸引力があったりするのですから、真空は何らかの構造をもっているはずです。真空が何らかの構造をもっているのなら、真空にも黒体放射があるのでないでしょうか。地球上で黒体放射の双極子非等方性が観測されればその証拠になります。宇宙背景放射の双極子非等方性が観測できるのなら、地球上での黒体放射の双極子非等方性も観測できるのではないでしょうか。6.の二つの観測による太陽系の移動度が一致し、地球上での黒体放射にも双極子非等方性があったら、宇宙背景放射は真空の黒体放射とも考えられますが、どうなのでしょうか。

 

ついでの話 ベクトルポテンシャル

 ベクトルポテンシャルの存在は30年前、日立製作所基礎研究所の外村 彰 博士が、磁気を完全に閉じ込めたリング状の磁石を作り、完全に実証しました。ネットにも博士自身による記事があります。博士はこの中で、「電子線が電界・磁界がない領域を通ったのにもかかわらず、観察可能な効果をもたらすことを示す」と述べています。私は、同じように、「変圧器では電界も磁界もない所で発電が起こっている」と思っているのです。外村博士の実証実験はミクロな世界ですが、変圧器でのベクトルポテンシャルの実験は普通に目にする世界です。

 

(1)変圧器の発電実験

 変圧器は鉄芯とコイルで出来ています。鉄芯は額縁のようになっています。コイルは二つあります。1次コイルと2次コイルです。1次コイルに交流電圧をかけると2次コイルに、1次コイルと2コイルの巻き数比に比例した電圧が発生します。磁束は鉄芯の中にあり、コイルの所にはありません。ですから、発電機の場合ようにコイルの導線が磁束を横切ることはありません。コイルの所に有るのはベクトルポテンシャルだけです。従って、変圧器の発電は、ベクトルポテンシャルの時間的変化で起こっているのだと考えるしか有りません。つまり、E=δA/δt が起こっているのです。納得の為、下の写真の実験をしました。単巻き変圧器の実験では、巻き数比の電圧が出ました。額縁鉄芯実験では、上部のグリーンテープの所が5cm長さのピースになっているため漏れがあり、巻き数比の7から8割の電圧しか出ませんでした。

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 上の写真中に丸いものが4個ありますが、これは方位計です。この方位計を使って単巻き変圧器の磁気の影響範囲を調べました。単巻変圧器には0.5Aの直流電流を流しました。因みに発電測定の実験時に単巻変圧器に流れる電流は、0.15Aです。方位計の針が動かない単巻変圧器からの距離は、方位計を単巻変圧器の巻き線と平行にした場合は10cm、直角の場合(下の写真の配置)も10cmでした。直径1mの巻き線のおおよそ85%は単巻き変圧器の磁気の影響が無い所となります。

 

     単巻変圧器と方位計の配置

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(2)ベクトルポテンシャル導入を想像する

   昔使った教科書に次の式がありました。

   δEy/δx-δEx/δy=-δBz/δt   です。

   この式は次のようしてに導くことが出来ます。

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―(Ex1・δx+Ey2・δy―Ex2・δx―Ey1・δy)=―δx・δy・δBz/δt

(δxとδyが作る閉回路に発生する電圧=―1×閉回路中の磁束数の時間的変化.

左辺には、電界と電圧は逆向きなので―をつけています。)

Ex2とEy1は電界を足して行く方向と逆方向なので、―Ex2、―Ey1となります。

両片を―δx・δyで割ると

Ex1/δy+Ey2/δx―Ex2/δy―Ey1/δx=δBz/δt   

整理すると

(Ey2-Ey1)/δx-(Ex2-Ex1)/δy=δBz/δt

そして

δEy/δx-δEx/δy=δBz/δt となります。ここでは、起電力Uと電界の方向が逆であることを考慮しているので、教科書とは±の符号は逆になっていますが、教科書の式 

δEy/δx-δEx/δy=-δBz/δt が出てきたのです。

この教科書の式を見て、変数を減らしたい気持ちが働くと、Ey=-δAy/δt、

Ex=―δAx/δt としたくなるのではないでしょうか。代入してみます。 

δEy/δx-δEx/δy=-δBz/δtは

δ(-δAy/δt)/δx-δ(―δAx/δt)/δy=-δBz/δt となります。

微分の順番を入れ替えて、(因みにネットで確認すると微分の入れ替えは可能のようです)

δ(-δAy/δx)/δt-δ(―δAx/δy)/δt=-δBz/δt

そして

 (-δAy/δx)-(―δAx/δy)=-Bz

       δAy/δx-δAx/δy=Bz

このようにして、 E=-δA/δt、rotA=B  が発見されたのではないかと思っています。

 

詳細は お手数でも 「変圧器とベクトルポテンシャル」を検索願います。